テニスのツボ

超理系な現役テニスコーチによるテニス情報ブログです。 「誰かに話したくなる」ようなテニス雑誌にも載っていないような 超マニアックなことをお伝えしていきます。 トッププロの情報や自身の選手活動も定期的に更新中です。

カテゴリ:テニスの技術 > 作戦

昨日のストロークとボールの軌道に続いて、テニスを科学するシリーズ。


ナダルのスピン、めちゃ跳ねますよね。
フェデラーのスライス、糸を引くように低く滑ります。
ティエムのスピンサーブ、肩より高く跳ねています。

私たちはこれらと同じスピード、同じスピンででボールを打つことはできません。

あれだけのボールを打つためにはかなりのスイングスピードでラケットを振る必要があるからです。



しかしあなたにもナダルくらいの高さまで跳ねるスピンを打つことは出来ます。



まず回転をかけたボールがどのように跳ねるのか理解しましょう。

まずはボールをトップスピンをかけて真下に落とします。
回転をかけた分だけ本来よりも 進行方向に進みます。
スクリーンショット 2019-07-04 1.45.21
回転量を増やすとボールが弾む高さは低くなります。
スクリーンショット 2019-07-04 1.54.05


同じようにスライス回転をかけて落とすと進行方向と逆に進みます。
スクリーンショット 2019-07-04 1.46.17
スライスでも回転を多くすればするほどボールの弾む高さは低くなります。



また少し落とす角度を変えてもトップスピンは進行方向に、スライスは逆方向に進みます。
回転をかけないと点線のように跳ねるはずですが、それよりも進行方向に向かって跳ねます。
スクリーンショット 2019-07-04 2.08.06



さてここからが本題です

次に実際にボールを打った時と近くなるように45度の入射角になるようにボールを落とします。
回転をかけないとこう弾みますね。
スクリーンショット 2019-07-04 1.57.37
次にトップスピンをかけてみます。
スクリーンショット 2019-07-04 2.02.12
本来跳ねるはずの位置よりも進行方向に向かって跳ねます。
打球の方向と回転の方向が一致しているので少し加速して跳ねます。

でもちょっと図を見直してください。


これ、回転かかってないほうが高く跳ねていませんか?

 
スクリーンショット 2019-07-04 2.14.05

そうなんです。回転をかけるから高く跳ねるのではないのです。


では、なぜナダルのトップスピンはあんなに跳ねるのでしょうか。


答えは、ボールの入射角です。 

ナダルのスピンを横から見るとこんな感じの軌道を描いています。

スクリーンショット 2019-07-04 2.26.03
 まずナダルのボールは高い軌道でネットを越えた後、マグヌス効果でボールは急降下します。それによって地面に落ちる時にはかなり上から下に落ちます。この角度を水色の三角形で表しています。もし回転がかかっていなければ水色の線に沿うように跳ねるはずですがトップスピンの分だけ進行方向に進みます。

対して跳ねないスピンはこんな感じです。
スクリーンショット 2019-07-04 2.34.02
入射角が小さいので跳ねる高さは低くなってしまいます。

もちろんこれはこれでアリです。速いスピンのかかったボールは相手の腰の高さまでしか弾まなくても大きな武器です。これだけ打ち続けてもなんの問題もないでしょう。

ただ、高く跳ねるスピンは是非覚えていてほしいです。
理由はディフェンスの場面でものすごく役に立つから

では高く跳ねるスピンの打ち方です。
打ち方は簡単。このイメージで打つだけ。 
 スクリーンショット 2019-07-04 2.44.12
そう、一般に言われる中ロブに近いボールです。
ベストのイメージは「相手の肩より高く弾むけど、グランドスマッシュを打つには難しいボール」です。
このボールを特にうまく使っているなー、と私が思うのは
男子だとアンディ・マレー
女子だと奈良くるみ

この2人はラリーの中でこのボールを織り交ぜることで後ろに下げさせたり、力の入らない打点で打たせたりすることで、不利な状況から攻勢に転じるのが抜群にうまいです。
 
もし興味があれば動画を探してみることをお勧めします。


では低く滑るスライスを打つには?

ここまで読んで下さった方はもうわかりますね。
 スクリーンショット 2019-07-04 2.56.12
低く打って入射角を小さくすればいいのです。この時バウンドは本来弾むはずの高さより高くなりますが、進行方向と逆の回転で相殺されて「低く滑ってくる」軌道になります。
また、スライスはマグヌス効果によって距離が伸びますので、ボールの頂点はネットの手前に設定しましょう。
 スクリーンショット 2019-07-04 3.02.17
このような高いスライスは入射角が大きいので高く弾み、なおかつ進行方向と逆の回転で威力が低下するチャンスボールになってしまうので、あまり使わないようにしましょう。(使い道はありますが、それはまた今度にでも)



まとめ
まずはボールを打つ時に相手コートにどのように入っているのか観察してみましょう。
高く弾む、低く滑る、それぞれを使いたい時に使えるように、練習してみましょう。


それではまた、よいテニスライフを。 

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大事な試合に勝ちたい。

草トーナメントの決勝
県大会進出が決まる試合
団体戦で自分の試合で勝敗が決まる

大なり小なり誰もが「勝ちたい」試合はあったはずです。
守っているだけで勝てれば楽なんですが、そういう相手ばかりではありません。


そんな時覚えておいて欲しい思考法があります。


3分のn思考法





はい、ここで読むのをやめないで下さい。
見てみれば簡単なことですから。


まずショットには大きく分けて3つのリスク(ミスの種類)があります。

オーバー、ネットのリスク
距離感を間違うリスクです。深く狙えば狙うほどバックアウト、手前を狙えばネットのミスが増えます。
サイドアウトのリスク
左右方向のリスクです。サイドラインギリギリを狙えばサイドアウトが増えます。
タッチのリスク
ショットの強さによるリスクです。強いフラット、グリグリスピンでは真ん中に当たらずフレームショットなどが増え、またドロップショットでは甘いチャンスボールになってしまうリスクがあります。


うまく行った時に一番効果的なのは3つのリスク
が全て成功した時です。例えば「シングルスでコーナーにドフラットの強打を打ち込むこと」です。でもこれを毎回打ち続けて勝てると思いますか?多分ミスが増えて負けちゃいますよね。
ではこの3つのリスクをどんな場面でどこまで負うかだいたい決めちゃおうというのがこの思考法です。


●3分の0リスクの場面

自分が押されている場面です。
ここでは全てのリスクを負わない方がいいです。要はネットの高いところを通してサイドアウトしないくらいのところにミスが少ないショットを打つ、というのが正解になります。
ミスが少ないショットは人によって違います。スライスでもスピンでもブロック系のショットでもいいですし、なんならロブでもいいです。
自分が一番ミスしにくいな、と思うショットにしましょう。



●3分の1リスクの場面
お互いラリーがイーブンで続いている、または自分達が有利な状況です。打ち合いの中で一番多い状況でもあります。ここでは1つリスクを負うべきです。
深いスピンボール(オーバーのリスク)」
相手を走らせるアングルショット(サイドアウトのリスク)」
低いスライス(ネットのリスク)」
速いフラットをアウトしないところに強打(タッチのリスク)」
のように1つだけリスクを負うと、次に甘いボールがきやすくなります。もしイーブンの状況が続いても根気よく上記のようなボールを選択し続けましょう。
そしてチャンスボールを決めに行くときも強く打つなら強く、コースを狙うならコースとはっきり分けましょう。特によく見かけるのがスマッシュを強く深く狙う人。強く、深く、というのは2つのリスクを負っている状態でミスが出やすくなります。スマッシュは「強くコートの真ん中に打つ」か「少しスピードを落として深くorサイドに打つ」のどちらかにしましょう。


●3分の2リスクの場面
これは試合中何度かすべきギャンブルの場面です。自分が押されている時に逆転のショット、また決め切れるか微妙なチャンスボールなどで相手の読みを外す時に使います。「相手がネットに詰めてきた時に決めるつもりで中ロブを打つ」「アプローチショットをサイドラインに強く打つ」「若干浮いてきたチャンスボールを決めるつもりでドロップショット」などです。
2つのリスクを負うようなショットは使っても1セットマッチなら使っても3回くらいにした方がいいでしょう。あくまで狙いは相手の読みを外すことここでロブが来るかも、ここでドロップが来るかも、と思わせることで思い切ったプレーをしにくくさせましょう。

●3分の3のリスクの場面
3分の3のリスクは負わない方がいいです。
よくある場面はダブルスでポーチボレーがきそうな時に、ストレートの前衛にアレーコートを狙って強打を打つこと。ただでさえネットが高い位置を狙うのでネットのリスク、強打によるタッチのリスク、さらにアレーコートを狙うサイドアウトのリスクの全てを負うことになります。もしリスクを負ってストレートを狙うなら相手がいる位置付近に強打する(ネットとタッチのリスク)か、少しスピードを落としてアレーコートに打つ(ネットとサイドアウトのリスク)のどちらかがおすすめです。



まとめ
基本的には強く打つなら強く、深く打つなら深く、走らせるなら走らせる、はっきり1つの狙いで攻めましょう。苦しくなったらとにかく返す。たまにリスクを負いましょう。

また人によって無理なく狙える範囲は違います。強く打ってもミスが少ない人、深いボールを打つ感覚に優れている人など十人十色です。
自分の中で「ほぼ間違いなく入るスピード、深さ、コース(ノーリスク)」「8割以上入るスピード、深さ、コース(リスク)」を普段の練習で確認しておくと試合で迷いなくプレー出来ます。
ちなみに練習で5割に満たないショットはリスクではなく無謀といいます。勘違いしないでくださいね。
機会があれば具体的な練習方法も書いていきます。

ではまた、よいテニスライフを。

初、アプリからの投稿。
けいコーチです。

試合で「うわ、こんな強い人絶対勝てないよ」と思う時の考え方を紹介します。


●相手のショットが凄すぎて返せない

高速なフラットショット、グリグリのスピン、左利きのめちゃ曲がるサーブなど自分が見たことも無いようなボールが来た時はまずそのショットを返せるポジションに行きましょう

速いボールも通常より1〜2メートル下がれば返せる確率が上がります。左利きのサーブは2歩左に寄るといいです。

結果逆を突かれてドロップショットを打たれる、ネットに出られて決められる。全然問題ないです。

一番よくないのは
「これを打っておけば安心」
と思われること。

「これだけ打っても決まらないならもっと威力を上げよう」
「下がってるならドロップを打とう」
「ボレーで決めに行こう」
など考えさせることで展開が変わります。



●どこに打っても返される

守備型の強い相手にははっきりしたプレーと撒き餌が有効です

まず自分か攻めることが出来るチャンスが来たら迷わず決めに行きましょう。
パッシングショット、アプローチからボレーなど方法は問いません。
目安は50パーセント以上ポイント出来そうなら攻めましょう。

反対に自分が攻めにくい状況では無理ない範囲で変化をつけてみましょう。

ゆっくり打つ
スピン量を増やす
少しだけ短く打つ

狙いは相手に無理をさせること。
その反応を見て弱点があればそこをついていきましょう。


まとめ
3セットマッチ以上の試合では第1セット落としてでも自分のやりたい形に近づけていく戦法も有効ですが、1セットマッチではその時間がないので上記のような戦法がおすすめです。

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