テニスのツボ

超理系な現役テニスコーチによるテニス情報ブログです。 「誰かに話したくなる」ようなテニス雑誌にも載っていないような 超マニアックなことをお伝えしていきます。 トッププロの情報や自身の選手活動も定期的に更新中です。

カテゴリ:テニスの技術 > ストローク

普段の練習に一味加えるだけで効果的な練習になる、がテーマの
ドリルの味付け
シリーズをスタートします。

第1回の今回は2対1のストロークラリー練習です。
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3人で練習するとこの形で始めることが多いと思います。
3人って中途半端で4人なら2コースでラリーできますが、3人だとどうしても1人休むかこの2対1の形になってしまうんですよね。
結構2人の方は半分しかボールが飛んでこないので散漫になりがちです。

でもちょっと工夫を入れるだけで効果的な練習にもなるんです。
それではこの形での練習に一味加えてみます。

同じ人に2球以上打つ

まず大前提としてあるのが誰が、どこに、どんなパターンで打つのか
これが練習効率を上げたり下げたりする一番大事なポイントです。

練習効率を上げるために一番最初に見直して欲しいのはボールの配球です。
よく見かけるパターンで下の図のように手前の人が奥の2人に1球ずつ交互にボールを打つ練習をしている人がいますが、これは練習効率を下げています。

おそらく片方の人が退屈しないように、という意味で2人に交互に打っているのだと思いますが、これだと手前の人は「クロスに来たボールをストレート(フォア)」「クロスに来たボールをストレート(バック)」の2種類のショットの練習にしかなりません。

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これを同じ人に2球ずつ打つことで
「クロスに来たボールをクロス(フォア)」
「クロスに来たボールをストレート(フォア)」
「クロスに来たボールをクロス(バック)」
「クロスに来たボールをストレート(バック)」 

4種類の練習になります。
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シングルス・ダブルス共にベースになるコースはクロスですので、同じ人に最低2球ずつ打つことでクロスにも打つ練習になります。さらに3球ずつにすれば「クロス→クロス→ストレート」のパターンになります。(4球以上続けるとさすがに片方が暇になりすぎるかも・・・)

とにかく1球ずつ打ち分けるのは練習効率が悪いのでやめたほうがいいと思います。



バリエーション



ここからはバリエーションをいくつか紹介します。

センターに戻る動きを入れる
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スライスを回り込んで打つ
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ロブを使った練習
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振り回し
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◯本決めるまで帰れまテン
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いくつか紹介しましたが、考えればまだまだあります。
ただ漫然と練習しても大きな効果は得られません。
いったいこれは何の練習なのか、考える癖をつけましょう。

それではまた、よいテニスライフを。 

今から2つの質問をします。
①あなたはストロークをミスなく打てますか?
強く振りすぎてアウトをしてしまったり、思ったような回転がかけられなかったり、フレームに当ててしまうことはありませんか?


あまり出来ない方、大体できるけど相手のボールが速かったり走りながら打ったりすると出来ない方などいらっしゃると思います。

では次の質問

②あなたはペットボトルの水をうまく飲むことが出来ますか?
キャップを逆に回してしまったり、強く握りすぎて中身が溢れ出てしまったり、口に入れようとしたら間違って鼻に入れてしまったりすることはありませんか?



ほとんどの方は出来ると思います。恐らくちょっとくらい蓋が固くても開けられるでしょうし、(マナーは別として)揺れる電車内でも出来るでしょう。目をつぶりながらでも出来ると思います。利き手と逆でも出来る方がほとんどでしょう。


ではなぜあなたはペットボトルの水はミスなく飲めるのにテニスではミスをしてしまうのでしょう。


それはストロークの動作における「再現性」が低いからです。



再現性(さいげんせい)とは、同一の特性が同一の手法により発現するとき、その結果の一致の近さのことである
※ウィキペディアより



簡単に言うと同じことをどのくらい同じようにできるか、ということ。


テニスの場合ボールの相手のボールの速さ、回転などを見て相手のポジションなどを確認してから自分の打つボールの速さ、回転などを決めるという複雑さからどうしても再現性を高めるのは難しいスポーツです。


では再現性を高めるためにはどうしたらいいのか。いくつかポイントをお教えいたします。


1.動かす場所を最小限にする

ストロークでは動作を組み合わせるほど複雑な動きになり再現性を高める(同じ動作をする)ことが難しくなります。
「体を回して」「ボールに踏み込みながら」「手首をパームアウトして」などいろいろ組み合わせるのは難しい技術なのです。


また、あるテニス関係の物理学者は直線運動に比べて回転運動は計算がとても難しいのでテニスの動作も出来るだけ直線運動にすることが望ましい、と述べています。

つまり「体を回して」より「ラケットを後ろから前に」の方が簡単。
「手首を返して」より「手首を固めて」の方が簡単、ということです。

ペットボトルの蓋も回転させないと開かないのですが、これが上に上げるだけ(直線運動)で開く構造だったら簡単に開きすぎて鞄の中でこぼれてしまうので、あえて難しい回転運動を要求しているのだと思います(多分)

テニスも簡単なボールはともかく厳しいボールが来た時には出来るだけシンプルな打ち方をするようにしましょう。



2.動きのことを意識しない

ペットボトルの蓋はどちらに回すと開きますか?時計回り?反時計回り?

正解は反時計回りですが、そのことを意識して
開けないのではないでしょうか。

なぜ意識しないで出来るかというと動きが体に身についているからです。
回す方向も、ペットボトルを潰さずに握る力加減も、何回も行ううちに体が慣れてきているのです。


テニスも同じで動作を繰り返し行うことで体が慣れて意識せずに同じ動作を出来るようになります。

ある程度出来てきたら打ち方のことは意識しないようにしましょう。



3.結果を確認する

皆さんは1球1球ボールがどこに落ちたか確認していますか?

これが一番出来ていない方が多いと思います。


人間は体に起きたことは基本的に脳にインプットされます。
今の力加減で打ったら、どのくらい飛んだか。
今のスイング方向で打ったらネットのどのくらいを通ったか。
全て脳は覚えているのです。
そしてあなたが意識しなくても潜在的な「もう一人の自分」がだんだん目標に近づけてくれるのです。

※このあたりはティモシー・ガルウェイ著のインナーテニスという本に詳しく書いてあるので興味があればお買い求め下さい。

しかしその軌道や着弾点を見ておかないと正しい記憶として脳に定着しません。

「ネット」や「アウト」や「ナイスショット」というのは線が引いてあったり、網が仕掛けられているから起こるただの結果です。

正確に脳に覚えさせるのに「ああ、飛びすぎた」「ネットした」だけを記憶するのはもったいないです。

正確に何センチまで意識せずとも「ラケット1本分サイドだった」「ボール2個分ネットだった」「ロールスロイス1台分アウトだった」くらいでいいのでボールの行方を見る癖をつけましょう。




まとめ
テニスは8割勝てる人でも100回のうち45回はミスするスポーツです。
ミスをすることは悪いことではありません。
そのミスをだんだん減らしていくために、また次に生かしていくためにこの3つのことを覚えておきましょう。



それではまた、よいテニスライフを。

昨日のストロークとボールの軌道に続いて、テニスを科学するシリーズ。


ナダルのスピン、めちゃ跳ねますよね。
フェデラーのスライス、糸を引くように低く滑ります。
ティエムのスピンサーブ、肩より高く跳ねています。

私たちはこれらと同じスピード、同じスピンででボールを打つことはできません。

あれだけのボールを打つためにはかなりのスイングスピードでラケットを振る必要があるからです。



しかしあなたにもナダルくらいの高さまで跳ねるスピンを打つことは出来ます。



まず回転をかけたボールがどのように跳ねるのか理解しましょう。

まずはボールをトップスピンをかけて真下に落とします。
回転をかけた分だけ本来よりも 進行方向に進みます。
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回転量を増やすとボールが弾む高さは低くなります。
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同じようにスライス回転をかけて落とすと進行方向と逆に進みます。
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スライスでも回転を多くすればするほどボールの弾む高さは低くなります。



また少し落とす角度を変えてもトップスピンは進行方向に、スライスは逆方向に進みます。
回転をかけないと点線のように跳ねるはずですが、それよりも進行方向に向かって跳ねます。
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さてここからが本題です

次に実際にボールを打った時と近くなるように45度の入射角になるようにボールを落とします。
回転をかけないとこう弾みますね。
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次にトップスピンをかけてみます。
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本来跳ねるはずの位置よりも進行方向に向かって跳ねます。
打球の方向と回転の方向が一致しているので少し加速して跳ねます。

でもちょっと図を見直してください。


これ、回転かかってないほうが高く跳ねていませんか?

 
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そうなんです。回転をかけるから高く跳ねるのではないのです。


では、なぜナダルのトップスピンはあんなに跳ねるのでしょうか。


答えは、ボールの入射角です。 

ナダルのスピンを横から見るとこんな感じの軌道を描いています。

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 まずナダルのボールは高い軌道でネットを越えた後、マグヌス効果でボールは急降下します。それによって地面に落ちる時にはかなり上から下に落ちます。この角度を水色の三角形で表しています。もし回転がかかっていなければ水色の線に沿うように跳ねるはずですがトップスピンの分だけ進行方向に進みます。

対して跳ねないスピンはこんな感じです。
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入射角が小さいので跳ねる高さは低くなってしまいます。

もちろんこれはこれでアリです。速いスピンのかかったボールは相手の腰の高さまでしか弾まなくても大きな武器です。これだけ打ち続けてもなんの問題もないでしょう。

ただ、高く跳ねるスピンは是非覚えていてほしいです。
理由はディフェンスの場面でものすごく役に立つから

では高く跳ねるスピンの打ち方です。
打ち方は簡単。このイメージで打つだけ。 
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そう、一般に言われる中ロブに近いボールです。
ベストのイメージは「相手の肩より高く弾むけど、グランドスマッシュを打つには難しいボール」です。
このボールを特にうまく使っているなー、と私が思うのは
男子だとアンディ・マレー
女子だと奈良くるみ

この2人はラリーの中でこのボールを織り交ぜることで後ろに下げさせたり、力の入らない打点で打たせたりすることで、不利な状況から攻勢に転じるのが抜群にうまいです。
 
もし興味があれば動画を探してみることをお勧めします。


では低く滑るスライスを打つには?

ここまで読んで下さった方はもうわかりますね。
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低く打って入射角を小さくすればいいのです。この時バウンドは本来弾むはずの高さより高くなりますが、進行方向と逆の回転で相殺されて「低く滑ってくる」軌道になります。
また、スライスはマグヌス効果によって距離が伸びますので、ボールの頂点はネットの手前に設定しましょう。
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このような高いスライスは入射角が大きいので高く弾み、なおかつ進行方向と逆の回転で威力が低下するチャンスボールになってしまうので、あまり使わないようにしましょう。(使い道はありますが、それはまた今度にでも)



まとめ
まずはボールを打つ時に相手コートにどのように入っているのか観察してみましょう。
高く弾む、低く滑る、それぞれを使いたい時に使えるように、練習してみましょう。


それではまた、よいテニスライフを。 

1日あいてしまいました。けいこーちです。

今日のテーマはストロークとボールの軌道。

みなさんはこんなことありませんか?


「ボールが深く打てず短くなってしまう」
「プレッシャーがかかるとネットミスが多くなってしまう」
「 ロブがうまくあがらずスマッシュされてしまう、またはオーバーしてしまう」


そんな時にどうしたらいいのか考えてみましょう。

たとえばあなたがベースラインから相手コートの深くを狙って打つとします。


その時ネットまでの距離は約12m。
ネットの高さは約1m。
ネットから相手のベースラインまでの距離は同じく約12m。
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つまり12m先にある1mのネットを超えて、かつ24mまでに入れるということをしようとしているわけです。

このときボールを直線で打つと必ずネットにかかってしまうので、放物線を描くように打つ必要があります。

ネットまでの距離:ネットからベースライン
=1:1なので
この放物線の頂点をネットの上に設定するとベースラインの上に落ちます。
これはどんな高さに打ってもネットの上が放物線の頂点であれば変わりません。

フラット系の低いボールを打つとき
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ロブ系の高いボールを打つとき

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特にロブが苦手な方は相手がいる場所を基準に打っている場合が多いです。ネットの上から落ちるイメージを持てばうまく上がります。

なんとなくストロークの軌道を
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こんな感じにイメージする方が稀にいますがこんな軌道で飛ぶことはありません


ではなんで思った距離に飛ばないのか。
「短くなる」「アウトする」場合はボールの頂点の設定ミスです。


放物線の頂点がネットの手前であれば短く、ネットの奥であればアウトします。

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ほとんどの場合ネットの上で頂点を迎えそこから落ちるイメージで打てばベースライン上に打てますが、少しだけ以下のことも意識するとより精度が高まります。

●ボールを打つ高さ

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同じ放物線で打つ場合、ボールを打つ高さが高くなればなるほどボールの飛距離は伸びます。膝より下で打つときと肩の高さで打つときでは約1m違います。肩の高さで打つときとには頂点を若干手前に設定しましょう。

●空気抵抗

ボールは飛んでいる間空気抵抗を受け減速します。ですのでネットの上に頂点を取った場合若干手前に落ちます。空気抵抗は高度が高くなると(空気が薄くなると)小さくなるので、標高が高い場所での試合はボールが飛ぶ、と感じられます。(これにはボールの内圧も関係していますが今は無視します)
日本でテニスをしている限り、あまり気にしなくていいでしょう。

●ボールのスピン量

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これはマグヌス効果と呼ばれるもので、物体が飛んでいる時に物体の上側と下側の気圧差があるとその方向に力が働く、といったものです。詳しくはマグヌス効果と調べてみて下さい。

順回転がかかっていると手前に、逆回転がかかっていると奥にボールが落ちます。これはテニスをやっていると感覚的に分かると思います。


これらを踏まえてボールの軌道を決めるとミスが減ること間違いなしです。

あなたのボールがどこに頂点があるか、もう一度確認してみましょう。

それではまた、よいテニスライフを。

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