テニスのツボ

超理系な現役テニスコーチによるテニス情報ブログです。 「誰かに話したくなる」ようなテニス雑誌にも載っていないような 超マニアックなことをお伝えしていきます。 トッププロの情報や自身の選手活動も定期的に更新中です。

カテゴリ:テニスの技術 > ボレー

先日の記事で

100km/hで飛んでくるボールをボレーするとき、飛んでくるまでの時間は約0.5秒かかる。
人間はボールを見てからボレーの位置にラケットを移動するまで0.38秒かかる。


という話をしました。詳しくは下の記事をご覧ください。 

今日はその話の続きです。



選択が増えると反応は遅くなる


反応時間に関しては昔から様々な研究がされてきているのですが、その中でヒックの法則というのがあります。これは簡単に言うと

人間は選択肢が増えるほど意思決定に時間がかかる

というものです。
5つの選択肢の中から1つを選ぶよりも、2つの選択肢から1つを選ぶ方が早いということが実験によりわかったそうです。
 スクリーンショット 2019-08-02 22.26.35

公式


これは数式によって導くことができます。

反応までの時間=x+y・log2(n+1)

x=意思決定を除く所要時間(ラケットを動かす時間の0.2秒)
y=意思決定にかかる時間 (脳に信号が行くまでの0.18秒)

次の表は選択肢の数とその反応までの時間です。
選択肢が1つだと0.38秒ですが、2つだと0.48秒、3つで0.56秒とどんどん増えていきます。

スクリーンショット 2019-08-02 3.11.09スクリーンショット 2019-08-02 3.42.29

 
フォアボレー、バックボレー、そして・・・


前衛のあなたにボールが飛んできたときに選択肢はいくつあるでしょう。

まず右利きなら体の右側に飛んできたらラケットの表で触りますね。
これがフォアボレーです。
逆に左側に飛んできたらラケットの裏で触りますね。
そうです。バックボレーです。

あともう一つあります(スマッシュじゃないですよ)
なんだと思いますか。



答えはアウトの判断。すなわち打たない 、という選択肢があります。

つまりボールが飛んできたらフォアか、バックか、アウトかの3つの判断をしているのです。

3つの選択肢から反応までの時間は上の表から0.56秒
ボールが飛んでくるまでの時間は・・・約0.5秒

あれ、間に合いませんね。

そうです。3つから判断していると間に合わないんです。 

 
まず準備しましょう


テニスコーチから、部活の顧問から、
「スタートが遅い!アウトか判断する前にまず動け!」
 みたいなことを言われたことがある人も多いと思いますが、これは実は合理的なことなんです。

まず判断するのはフォアかバックかの2つ。

それからそのボールがアウトかどうか判断するようにします。

3つから判断だと0.56秒で間に合いませんが、2つなら0.48秒。間に合うのです。 
スクリーンショット 2019-08-02 23.58.47

 
応用


例えば至近距離で相手のポーチボレーをキャッチする場面で、どこに飛んできてもバックで取る、と決め打ちするのは効果的です。
肩よりも低いボールは多少フォア側に飛んできてもバックで取ることができます。さらに肩よりも高く飛んでくる速いボレーはアウトになる確率が高いので、判断する余裕がないと思ったらバックでとりましょう。
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それではまた、よいテニスライフを。
 

ダブルスであなたが前衛にいるとします。ネットから1mの位置にいるとしましょう。
そこにあいてがベースライン上からあなためがけてボールを打ってきました。
相手が打ってきたボールの速さが100km/hだとすると、ボレーするまでの時間の余裕はどれくらいだと思いますか?
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100km/hはどのくらいの速さかいうとスクール初中級〜中級くらいの人がちょっと速いな、と思うくらいです。
一般の上級者の男性の速い方だと110km/hくらい、プロだと130km/hくらい出ます。

それでは早速計算してみたいと思います。
 

100km/hのボールが来るまでの時間


100km/mのボールが1秒で進む距離
100km/h÷3600秒=27.777…m

相手とあなたの距離
11.885+1=12.885m

12.885m÷27.777m=約0.46秒

実際は空気抵抗によって減速するのですが、それでも相手が打ってから約0.5秒であなたは打たなくてはいけません。
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0.5秒と言われてもどのくらいかピンと来ない方に



AKB48の恋するフォーチュンクッキーという曲をご存知ですか?2015年に役所や自治体が踊ったりして有名になったあの曲です。
あの曲のサビの
こいするフォーチュンクッキー
『こ』で打ってきたボールを
『す』で打ち返す。
これが0.5秒です。(この曲はBPM120ですからね) 

人間の反応時間


相手が打ってからボールを打つまで脳の中ではどんなことが起こっているのでしょうか。
スクリーンショット 2019-08-01 0.31.56

まず、相手が打った瞬間視覚(ボールの映像)と聴覚(打球音)の2つが脳に飛んできます。
そして脳から手や足にボールを打つよう指令が出ます。

視覚聴覚情報が脳に行き、指令が出るまでの時間がおよそ0.18秒かかります。
これは以下の要素によって0.15秒〜0.3秒くらいまで個人差があります
・年齢(20代以降衰える)
・性別(研究によると男性の方がやや早い)
・疲労
・酒、薬物(カフェイン、ニコチン含む)

そして脳から指令が出てから筋肉を動かしてラケットを操作します。
ボレーする位置にラケットを持っていくのにおよそ0.2秒かかります。

指令が出るまで0.18秒+ラケットの移動0.2秒
0.38秒

これが人間の反応限界と言われています。 

0.38秒で間に合う限界


100km/hのボールは約0.5秒で飛んできますが、もっと速くなったらどうでしょうか。
スピードを上げて計算してみました。

100km/h→約0.46秒
110km/h→約0.42秒
120km/h→約0.39秒
130km/h→約0.36秒

※空気抵抗を考慮しない数値

130km/hになるとほぼ人間の反応限界に達するのでボレーをするのが困難になります。

こういったこともあり、トッププロではサービスダッシュをするプレーは少なくなっています。
特に最近はダブルスで常識だった並行陣を取らない男子選手も増加傾向になっています
このあたりはまた今度・・・

[結論]
ベースラインから打たれた100km/hのボールは約0.5秒で飛んでくる、そしてボールを見た瞬間反応し、0.38秒で構えに入れば0.12秒余るので少し余裕がある





・・・・とも限らない。


続きは次の記事にて。

 

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