テニスのツボ

超理系な現役テニスコーチによるテニス情報ブログです。 「誰かに話したくなる」ようなテニス雑誌にも載っていないような 超マニアックなことをお伝えしていきます。 トッププロの情報や自身の選手活動も定期的に更新中です。

タグ:ランキング

テニスのランキングって少しわかりづらいですよね。
今回は実際の選手のデータを使いながら、ランキングの決め方について解説します。
(今回は男子テニスの解説になります)


全ての選手に当てはまる基本ルール


大会に出場し勝つとラウンドに応じたポイントが手に入る。

グランドスラムは優勝で2000p、ATP250は優勝で250pと大会のグレードにより獲得ポイントは異なりますが、勝ち進んだ分だけポイントがもらえます。グランドスラムとマスターズを除き初戦で敗退すると獲得ポイントはありません。

獲得したポイントは1年間有効
ポイントを取った週から1年間経過するとポイントは無くなります。したがって、ランキングを維持するためには昨年と同じラウンドまで勝ち進まないといけません。

最大18大会のポイントの合計がランキングポイントになる

どれだけ多くの大会に出場してもランキングに反映されるのは最大18大会で、その他のポイントは切り捨てられます。(ツアーファイナルは18大会に入らないので、ツアーファイナルに出場した選手は最大19大会の合計がランキングポイントになります。)

グランドスラムとマスターズは強制加算

グランドスラムとマスターズの本戦に出場した場合、早期敗退してもそのポイントは強制加算になります。

以上が基本ルールになります。

コミットメントプレーヤーと出場義務

コミットメントプレーヤーとは前年末付けの世界ランキングで30位以内に入った選手のことです。この30位以内の選手には次の義務が与えられます。

グランドスラムとマスターズの出場義務
コミットメントプレーヤーはグランドスラム4大会及びモンテカルロを除くマスターズ8大会の全てに出場する義務が発生します。もし怪我などで出場できなかった場合強制的に0ポイント扱いになります。

ATP500の4大会の出場義務
コミットメントプレーヤーはATP500の11大会のうち4大会に出場する義務が発生します。(モンテカルロマスターズはATP500としてカウントされます。)また、4大会のうち1大会は全米の後の大会に出場する義務があります。これも出場できなかった分は0ポイント扱いになります。

つまりコミットメントプレーヤーはグランドスラムの4大会、マスターズの8大会、ATP500の4大会の合計16大会が出場義務でATP250やチャレンジャーでのポイントは2大会までしか反映されません(厳密には違うのですがほぼそう思って間違いないです)
一方30位に入れなかった選手はどの大会に出ても自由です。チャレンジャーでポイントを稼ぐのも大きな試合に挑戦するのも自由にできます。
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コミットメントプレーヤーには義務が目立ちますが、メリットもあります。

マスターズの皆勤ボーナス
皆勤賞のようなボーナスがあります。もらえる条件は
①その年のマスターズに7回以上出場
②その年の世界ランキングで12位以内

参加回数とランキングに応じて2000万円〜3億円のボーナスがもらえます。

ATP500大会に本戦から出場できる
どんなにランキングが落ちてもその年はATP500の大会には本戦から出場できます。

出場義務の免除規定


コミットメントプレーヤーでも以下の条件を満たすと出場義務が一部免除されます。

①満30歳以上
②12大会以上出場した年から12年経過
③通算600試合以上

全てその年の1月1日時点で達成している必要があります。
②についてはデビスカップの出場や2009年以前はチャレンジャーもカウントされるなど少しわかりにくいので、正確に調べるのは少し手間がかかります。

この3つの条件を達成した数に応じてマスターズの出場義務が減ります。1つ達成すると1大会、2つ達成すると2大会、3つ全て達成すると全てのマスターズの出場義務がなくなります。

ちなみに錦織圭選手は②の12年経過は達成しているので1大会免除されています。さらに今年通算600試合達成し、12月29日に30歳になるので来年にはマスターズの出場義務がなくなります。

いろいろな選手のランキングの紹介

文字で書くとわかりにくいので、実際の選手のデータを使ってまとめにしたいと思います。



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※IW=インディアンウェルズ

まずは日本のマクラクラン勉選手のダブルスのペアでお馴染みのストルフ選手。マスターズのマイアミでの10pは対象外のバーゼルの45pより低いですが、マスターズは強制加算なのでそちらが優先されています。もしマイアミに出ていなければ35p加算され、1300pだったことになります。





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続いてチャレンジャーで2週連続決勝進出と復調している杉田祐一選手。ランキングが低いので強制加算は3大会だけであとは全て加算されています。ポイントを取れていない大会も含めると1年間で29大会に出場しています。試合が世界中で行われていることを考えるとかなり精力的にツアーをまわっています。






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続いて錦織選手。コミットメントプレーヤーなので出場義務はかなり多くなっていますが、出場義務含め20大会に出場してポイントを獲得できなかった大会は0。大会数を絞って効率的にランキングを上げているように思います。




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ちょっと特殊なケースで同じくコミットメントプレーヤーのチチパス選手です。
ATP500は4大会の出場義務があるはずなのに3大会しかなく、ATP250の大会が3つもポイントに加算されていますね。
実はATP500は出場の義務はありますが、強制加算ではないんです。ポイント対象外のモンテカルロ、バーゼル、楽天、バルセロナはATP500で(モンテカルロは実際はマスターズ)うちバーゼルと楽天は全米以降の大会なので出場義務は満たしているのです。
もしこの4大会に出場していなければATP250から1つ除外されATP500に0ポイントが加算されます。ほんとにわかりにくい・・・

では最後はクイズ形式にします。
ダニエル・メドベージェフ選手の出場大会でどの18大会がポイントの対象になるのか当ててみて下さい。電卓をお持ちの方は実際に計算するとより理解が深まると思います。
ちなみにメドベージェフはコミットメントプレーヤーです。


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この下に答えを載せています。
















答え
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それではまた、よいテニスライフを。

追伸:モンテカルロは厳密にいうと強制加算大会ですが、本当にややこしくなってしまうのでとりあえず「モンテカルロはATP500扱い」ということにしました。
 

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いよいよ今週日曜からウィンブルドンが始まります。毎日NHKで中継する唯一の大会ですので、是非見て楽しみましょう!
今回のテーマは芝のスペシャリスト

クレー、ハードは苦手だけどグラスコートで勝ちまくる、そんな芝のスペシャリストたちを紹介します。





現役選手のグラスコート通算勝率
1位 R.フェデラー    87.4%
2位 A.マレー           83.6%
3位 N.ジョコビッチ83.0%
4位 R.ナダル           77.6%
5位 M.チリッチ       70.5%

予想通りフェデラーが1位です。ちなみに87.4%は歴代7位です。
その他の選手もビッグ4が上位を占めていて流石の一言です。
ちなみに錦織圭は現役で20位です(61.0%)

これだとビッグ4強いですねー、で終わって全く面白くないですね。あくまでお伝えしたいのは芝のスペシャリスト。ノーシードで1回戦で当たったらイヤな選手を探してみました。
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条件
●通算グラスコート勝率60%以上
●クレー、ハードの勝率がグラスより低い
●世界ランキング33位より低い
(ウィンブルドンノーシード)
●なんとなく芝好きそう

T.ベルディハ(チェコ) 112位

グラスコート勝率69.1%  ハード65.1% クレー63.7%

 ウィンブルドン最高戦績 準優勝(2010年)

 長らくトップ10を維持してきたベテランプレーヤー。近年も2016、17年の2年連続ベスト4進出などグラスコートが得意です。背中の怪我に悩まされランキングが下がっています。
他のコートでも勝率は高いので、グラスで強いオールラウンドプレーヤーといったところでしょうか。



 J.W.ツォンガ(フランス) 70位

グラスコート勝率69.0%  ハード68.6% クレー64.3%

 ウィンブルドン最高戦績 ベスト4(2011.2012年)

 個人的には全仏オープンで観客の声援を受けて大活躍している印象でしたが、意外にもクレーが一番勝てていませんでした。ハードとグラスではほぼ同水準なのでスペシャリストかというと微妙なところです。



 R.ガスケ(フランス) 46位

グラスコート勝率68.0%  ハード62.4% クレー63.1%

 ウィンブルドン最高戦績 ベスト4(2007.2015年)

 天才と呼ばれながらビッグタイトルに手が届いていないベテラン。スライス系のショットとネットプレーの巧さはツアー随一なのでグラスコートではかなり厄介な選手です。



 F.ロペス(スペイン) 53位

グラスコート勝率65.6%  ハード51.0% クレー49.0%

 ウィンブルドン最高戦績 ベスト8(2005.2008.2011年)

 左利き特有のスライスサーブと高速フラットサーブが武器。ハード、クレーに比べ約15%も高い勝率のまさに芝のスペシャリストと呼んでいいのではないでしょうか。ちなみに先週のクイーンズクラブ旬主権(ATP500)でアンディ・マレーと組んだダブルスとシングルスの単複2冠を達成し話題になりました。

 I.カルロビッチ(クロアチア) 80位

グラスコート勝率64.0%  ハード52.9% クレー42.0%

 ウィンブルドン最高戦績 ベスト8(2009年)

 通算サービスゲームキープ率92%、サービスエース数は歴代1位の13378本。その反面リターンゲームブレーク率はわずか9%とサーブに全ての能力を結集したような選手です。
7−6、6−7、7−6のスコアを見たらまずカルロビッチが関係していることを疑います。

  S.クエリー(アメリカ) 79位

グラスコート勝率62.5%  ハード56.4% クレー45.1%

 ウィンブルドン最高戦績 ベスト4(2017年)

 カルロビッチと同じようにサーブが武器。サーブ&ボレーよりもストロークの強打が得意な選手です。
トップ10選手に対して24.7%と約4回に1回大物食いをするなどハマれば驚異のプレーをします。
 


 N.マウ(フランス) 145位

グラスコート勝率62.0%  ハード41.0% クレー30.4%

 ウィンブルドン最高戦績 ベスト16(2016年)

 ウィンブルドンのイズナーとの試合で4−6、6−3、7−6、6−7、68−70の史上最長の試合をしたことの有名になった選手。テニス通はエルベールとペアを組んでのダブルスの名手の印象が強いです。今年の全豪で優勝しダブルスでのキャリアグランドスラムを達成しました。


P.コールシュライバー(ドイツ) 57位

グラスコート勝率61.1%  ハード54.7% クレー57.2%

 ウィンブルドン最高戦績 ベスト8(2012年)

 通常芝が得意な選手はグラス>ハード>クレーの順に勝率がなりますが、なぜかハードが一番苦手な選手。個人的にはグランドストロークの安定感が特長の選手だと思っていたので、こんなにグラスの勝率が高いとは思っていませんでした。



A.マナリノ(フランス) 37位

グラスコート勝率60.8%  ハード44.9% クレー26.4%

 ウィンブルドン最高戦績 ベスト16(2013.2017.2018年)

 最後に来ました。クレーとの勝率の違いを見ればわかるように彼が真の芝のスペシャリストです。彼の特長は左利きのサーブとバックハンド。サーブは不安定な時も多いですが、バックハンドはかなり回転の少ないフラット系で、グラスだとほとんど弾まずに滑ってくるような印象を与えます。
初出場の2009年以外毎年2回戦以上に進出し、芝での安定感を感じます。




まとめ
今回は調べるのに1時間以上かかって大変でした。でもこういうことを調べるのは大好きなので、週に1回以上はこのような調べてみた系の記事を書いていきたいと思います。
「こんなこと調べて欲しい」なんかがありましたらコメント欄にお書きいただければありがたく思います。

それではよいテニスライフを。

 

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