テニスのツボ

超理系な現役テニスコーチによるテニス情報ブログです。 「誰かに話したくなる」ようなテニス雑誌にも載っていないような 超マニアックなことをお伝えしていきます。 トッププロの情報や自身の選手活動も定期的に更新中です。

タグ:数学的

A君はサーブに悩んでいます。特にセカンドサーブは4回に1回(25%)しかポイント出来ません。そんなある日、枕元にテニスの神様が来てこう言いました。
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「お前に2つのうちどちらかのファーストサーブを授けよう。

①80%の確率で入り、そのうち60%の確率でポイントが取れるサーブ

②60%しか入らないが80%の確率でポイントが取れるサーブ

さあ、選ぶがよい。」



あなたならどちらを選びますか?




数学的テニスの考え方シリーズ、今日はサーブの確率編です。

80%で60%と60%で80%、なら同じじゃないの?

いいえ、これが違うんです。



では比べてみましょう。

仮にA君のサーブから100ポイント行うとします。

①の場合
ファーストサーブで得点
→100×80%×60%=48点
ファーストサーブで失点
→100×80%×40%=32点
セカンドサーブになる
→100-48-32=20点

②の場合
ファーストサーブで得点
→100×60%×80%=48点
ファーストサーブで失点
→100×60%×20%=12点
セカンドサーブになる
→100-48-12=40点


①も②もファーストサーブで48点取れるのは同じです。
しかしA君は25%で得点を取れるセカンドサーブを持っていますので、それを足してみましょう。

①の場合
ファーストサーブで得点
→100×80%×60%=48点
ファーストサーブで失点
→100×80%×40%=32点
セカンドサーブになる
→100-48-32=20点
セカンドサーブで得点
20×25%=5点
セカンドサーブで失点
20×75%=15点
得点48+5=53点
失点32+15=47点

②の場合
ファーストサーブで得点
→100×60%×80%=48点
ファーストサーブで失点
→100×60%×20%=12点
セカンドサーブになる
→100-48-12=40点
セカンドサーブで得点
40×25%=10点
セカンドサーブで失点
40×75%=
得点48+10=58点
失点12+30=42点

②の方が5点も多く得点を取れています。
ファーストサーブでの得点数が同じでも、セカンドサーブを打つ機会が多くなる分多く得点できるのです。
もし80%入るサーブで①と同じ58点取るためには66.25%得点する必要があります。



もちろんバランスは大事です。


100%ポイントが取れるサーブでも10%しか入らなければ
ファーストサーブで得点
→100×10%×100%=10点
セカンドサーブになる
→100-48-12=90点
セカンドサーブで得点
90×25%=22.5点
セカンドサーブで失点
90×75%=67.5点
得点10+22.5=33.5点
失点67.5点


得点は減ってしまいます。もし神様がこのサーブを提案してきたら丁重にお断りしてしましょう。





またどうせセカンドサーブで25%しか取れないなら、セカンドサーブも神様からもらったサーブを使ってみると


①の場合
ファーストサーブで得点
→100×80%×60%=48点
ファーストサーブで失点
→100×80%×40%=32点
セカンドサーブになる
→100-48-32=20点
セカンドサーブで得点
20×80%×60%=9.6点
セカンドサーブで失点
20×80×40%=6.4点
ダブルフォルト
20×20%=4点
得点48+9.6=57.6点(+4.6点)
失点32+6.4+4=42.4点

②の場合
ファーストサーブで得点
→100×60%×80%=48点
ファーストサーブで失点
→100×60%×20%=12点
セカンドサーブになる
→100-48-12=40点
セカンドサーブで得点
40×60%×80%=19.2点
セカンドサーブで失点
40×60%×20%=4.8点
ダブルフォルト
40×40%=16点
得点48+19.2=67.2点(+9.2点)
失点12+4.8+16=32.8点

どちらも得点は上がります。
16回もダブルフォルトしているのにこれだけ上がるのです。



もちろん究極には高確率で入って高確率でポイントを取れるサーブが理想です。
しかしその前段階ではとりあえず入れることより入った時いかにポイントを取れるかを重視するとサービスキープも楽にできるようになるでしょう。

以上を踏まえてサーブ練習ではこの優先順位で取り組んでみて下さい。

1.セカンドサーブの確率
セカンドが入らない人はファーストも入りません。まずは入れること。

2.セカンドサーブのポイント率
これがいつでも出来る、自分のサーブの根底になります。このポイント率が高いならセカンドサーブを2本続けて打つことも有効な作戦になります。

3.ファーストサーブのポイント率
セカンドサーブよりポイントが取れるように工夫します。別に必ずしもスピードを上げろ、と言っている訳ではありません。スピード以外にもコース、回転、サービスダッシュなどの戦術などを工夫してポイント率を高めます。

4.ファーストサーブの確率
高いポイント率をキープしながら確率を高めていきます。重要なのは「セカンドサーブよりどれだけ有効に打てるか」です。

テレビで解説者がファーストの確率が落ちています、と言うのを聞いたことがあるかもしれませんが、もし50%しか入っていなくても80%近くポイントできているなら大した問題ではありません。もし80%入っていても50%しかポイント出来ていなければその方が問題なのです。




これからサーブを練習するときには4つのどれの練習か意識しましょう。
「今はセカンドを入れる練習」「ファーストでポイントを取る練習」のように目的をはっきりして行うと劇的に上達すると思います。


それではまた、よいテニスライフを。

1日あいてしまいました。けいこーちです。

今日のテーマはストロークとボールの軌道。

みなさんはこんなことありませんか?


「ボールが深く打てず短くなってしまう」
「プレッシャーがかかるとネットミスが多くなってしまう」
「 ロブがうまくあがらずスマッシュされてしまう、またはオーバーしてしまう」


そんな時にどうしたらいいのか考えてみましょう。

たとえばあなたがベースラインから相手コートの深くを狙って打つとします。


その時ネットまでの距離は約12m。
ネットの高さは約1m。
ネットから相手のベースラインまでの距離は同じく約12m。
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つまり12m先にある1mのネットを超えて、かつ24mまでに入れるということをしようとしているわけです。

このときボールを直線で打つと必ずネットにかかってしまうので、放物線を描くように打つ必要があります。

ネットまでの距離:ネットからベースライン
=1:1なので
この放物線の頂点をネットの上に設定するとベースラインの上に落ちます。
これはどんな高さに打ってもネットの上が放物線の頂点であれば変わりません。

フラット系の低いボールを打つとき
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ロブ系の高いボールを打つとき

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特にロブが苦手な方は相手がいる場所を基準に打っている場合が多いです。ネットの上から落ちるイメージを持てばうまく上がります。

なんとなくストロークの軌道を
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こんな感じにイメージする方が稀にいますがこんな軌道で飛ぶことはありません


ではなんで思った距離に飛ばないのか。
「短くなる」「アウトする」場合はボールの頂点の設定ミスです。


放物線の頂点がネットの手前であれば短く、ネットの奥であればアウトします。

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ほとんどの場合ネットの上で頂点を迎えそこから落ちるイメージで打てばベースライン上に打てますが、少しだけ以下のことも意識するとより精度が高まります。

●ボールを打つ高さ

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同じ放物線で打つ場合、ボールを打つ高さが高くなればなるほどボールの飛距離は伸びます。膝より下で打つときと肩の高さで打つときでは約1m違います。肩の高さで打つときとには頂点を若干手前に設定しましょう。

●空気抵抗

ボールは飛んでいる間空気抵抗を受け減速します。ですのでネットの上に頂点を取った場合若干手前に落ちます。空気抵抗は高度が高くなると(空気が薄くなると)小さくなるので、標高が高い場所での試合はボールが飛ぶ、と感じられます。(これにはボールの内圧も関係していますが今は無視します)
日本でテニスをしている限り、あまり気にしなくていいでしょう。

●ボールのスピン量

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これはマグヌス効果と呼ばれるもので、物体が飛んでいる時に物体の上側と下側の気圧差があるとその方向に力が働く、といったものです。詳しくはマグヌス効果と調べてみて下さい。

順回転がかかっていると手前に、逆回転がかかっていると奥にボールが落ちます。これはテニスをやっていると感覚的に分かると思います。


これらを踏まえてボールの軌道を決めるとミスが減ること間違いなしです。

あなたのボールがどこに頂点があるか、もう一度確認してみましょう。

それではまた、よいテニスライフを。

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大事な試合に勝ちたい。

草トーナメントの決勝
県大会進出が決まる試合
団体戦で自分の試合で勝敗が決まる

大なり小なり誰もが「勝ちたい」試合はあったはずです。
守っているだけで勝てれば楽なんですが、そういう相手ばかりではありません。


そんな時覚えておいて欲しい思考法があります。


3分のn思考法





はい、ここで読むのをやめないで下さい。
見てみれば簡単なことですから。


まずショットには大きく分けて3つのリスク(ミスの種類)があります。

オーバー、ネットのリスク
距離感を間違うリスクです。深く狙えば狙うほどバックアウト、手前を狙えばネットのミスが増えます。
サイドアウトのリスク
左右方向のリスクです。サイドラインギリギリを狙えばサイドアウトが増えます。
タッチのリスク
ショットの強さによるリスクです。強いフラット、グリグリスピンでは真ん中に当たらずフレームショットなどが増え、またドロップショットでは甘いチャンスボールになってしまうリスクがあります。


うまく行った時に一番効果的なのは3つのリスク
が全て成功した時です。例えば「シングルスでコーナーにドフラットの強打を打ち込むこと」です。でもこれを毎回打ち続けて勝てると思いますか?多分ミスが増えて負けちゃいますよね。
ではこの3つのリスクをどんな場面でどこまで負うかだいたい決めちゃおうというのがこの思考法です。


●3分の0リスクの場面

自分が押されている場面です。
ここでは全てのリスクを負わない方がいいです。要はネットの高いところを通してサイドアウトしないくらいのところにミスが少ないショットを打つ、というのが正解になります。
ミスが少ないショットは人によって違います。スライスでもスピンでもブロック系のショットでもいいですし、なんならロブでもいいです。
自分が一番ミスしにくいな、と思うショットにしましょう。



●3分の1リスクの場面
お互いラリーがイーブンで続いている、または自分達が有利な状況です。打ち合いの中で一番多い状況でもあります。ここでは1つリスクを負うべきです。
深いスピンボール(オーバーのリスク)」
相手を走らせるアングルショット(サイドアウトのリスク)」
低いスライス(ネットのリスク)」
速いフラットをアウトしないところに強打(タッチのリスク)」
のように1つだけリスクを負うと、次に甘いボールがきやすくなります。もしイーブンの状況が続いても根気よく上記のようなボールを選択し続けましょう。
そしてチャンスボールを決めに行くときも強く打つなら強く、コースを狙うならコースとはっきり分けましょう。特によく見かけるのがスマッシュを強く深く狙う人。強く、深く、というのは2つのリスクを負っている状態でミスが出やすくなります。スマッシュは「強くコートの真ん中に打つ」か「少しスピードを落として深くorサイドに打つ」のどちらかにしましょう。


●3分の2リスクの場面
これは試合中何度かすべきギャンブルの場面です。自分が押されている時に逆転のショット、また決め切れるか微妙なチャンスボールなどで相手の読みを外す時に使います。「相手がネットに詰めてきた時に決めるつもりで中ロブを打つ」「アプローチショットをサイドラインに強く打つ」「若干浮いてきたチャンスボールを決めるつもりでドロップショット」などです。
2つのリスクを負うようなショットは使っても1セットマッチなら使っても3回くらいにした方がいいでしょう。あくまで狙いは相手の読みを外すことここでロブが来るかも、ここでドロップが来るかも、と思わせることで思い切ったプレーをしにくくさせましょう。

●3分の3のリスクの場面
3分の3のリスクは負わない方がいいです。
よくある場面はダブルスでポーチボレーがきそうな時に、ストレートの前衛にアレーコートを狙って強打を打つこと。ただでさえネットが高い位置を狙うのでネットのリスク、強打によるタッチのリスク、さらにアレーコートを狙うサイドアウトのリスクの全てを負うことになります。もしリスクを負ってストレートを狙うなら相手がいる位置付近に強打する(ネットとタッチのリスク)か、少しスピードを落としてアレーコートに打つ(ネットとサイドアウトのリスク)のどちらかがおすすめです。



まとめ
基本的には強く打つなら強く、深く打つなら深く、走らせるなら走らせる、はっきり1つの狙いで攻めましょう。苦しくなったらとにかく返す。たまにリスクを負いましょう。

また人によって無理なく狙える範囲は違います。強く打ってもミスが少ない人、深いボールを打つ感覚に優れている人など十人十色です。
自分の中で「ほぼ間違いなく入るスピード、深さ、コース(ノーリスク)」「8割以上入るスピード、深さ、コース(リスク)」を普段の練習で確認しておくと試合で迷いなくプレー出来ます。
ちなみに練習で5割に満たないショットはリスクではなく無謀といいます。勘違いしないでくださいね。
機会があれば具体的な練習方法も書いていきます。

ではまた、よいテニスライフを。

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